
博物館に収蔵されているのは漆蝋を絞るための道具類一式だ。いろいろあったけれど、わかりやすい物を取り上げる。
これだけではどのように使うのかがよく分からない。そこでもう一つ、博物館で買った「岩手県北地方の漆蝋」という報告書の表紙を借りる。下の写真である。下帯だけの男が二人で杵を振るっている場面である。
大きな材木の中央に案外小さな窪みがあって、そこに蒸した漆の実を入れた袋を置いて、両側からくさびではさみ付けているのである。くさびの締め付けを強くするために、上から杵でたたく。すると下から蝋がたれるので、それを集めるわけだ。このとき落ちてきた蝋を受けるのが、前回書いた組み立て式の箱である。蝋が冷えて固まってから箱板を外せば、蝋の塊をすぐに取り出すことができる。組み立て式の箱でないと、塊は簡単には出てこない。 組み立て式になっている意味がようやくわかった。
右下の写真が蝋の塊である。大きなブロックのようだ。漆蝋の生産は昭和の初期には終わっていたようだから、この蝋も相当に古い。それにしても蝋作りはずいぶんと大掛かりなものである。かつては蝋がそれだけ重要な産品として売買されたということである。土蔵の所有者は、姉帯村だけではなく、近隣一帯の大地主であったようで、多くの住民から漆の実を買い集めて蝋の生産を手がけていたそうである。

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